娘と虫とりと仕事のバランス

 最近、週末になると七歳の娘と一緒に虫とりに出かけている。小さな網を握りしめ、草むらを駆け回る娘の姿を見ると、仕事で凝り固まった頭がほぐれていく。しかし、虫とりは単なる親子の遊び以上の意味を持つ。仕事と向き合う自分の姿勢を見直すきっかけにもなっているのだ。

 私は普段、売上数字やネット運営に追われながら業務を進めている。お客様や取引先とのやり取り、WEBコンテンツの管理、商材の最新情報の把握やお客様応対。どれも疎かにはできない責任ある仕事であり、家族を支える収入の源でもある。しかし、一つひとつのタスクに全力を尽くしても、「成果が十分ではないのでは」「もっと効率化できるのでは」と自分を追い込むことがある。特に利益などの成果指標は、目標を達成すれば安堵と達成感をもたらすが、届かなければ大きな重荷となる。

 取引先との交渉も同じだ。相手の要望と自社の条件の間で板挟みになり、断れば信頼を失い、受け入れれば自社に負担がかかる。その狭間で最適解を探す作業は、まるで綱渡りのようだ。正解のない状況で判断を下すプレッシャーは大きく、夜になっても頭の中で会話を繰り返すことがある。

 そんなとき、娘と虫とりをすると気づかされる。バッタはすぐに捕まえられず、娘は何度も失敗しながら追いかける。そしてようやく一匹捕まえたときの笑顔は格別だ。仕事も同じで、すぐに結果が出なくても、粘り強く取り組むことが成果につながる。途中の失敗も、次に進むための大事なプロセスなのだ。

 虫とりには戦略も必要だ。太陽や風、虫の習性を見極め、網を振るタイミングを考える。娘は無我夢中だが、私は傍で助言する。すると成功率はぐんと上がる。仕事も同様に、がむしゃらに頑張るだけでは利益は限られる。情報を集め、状況を分析し、戦略を練って動くことが重要だ。

 さらに、虫とりは集中力を教えてくれる。狙う虫を一つに絞り、確実に捕まえる。その感覚は、複数案件を同時進行する仕事にも応用できる。優先順位を明確にし、一つずつ片付けることで効率は上がる。

 もう一つの学びは「成果を誰のために出すのか」ということだ。娘は捕まえた虫を見せながらも、「逃がしてあげよう」と言う。その優しさに触れると、自分の仕事の意味を考え直す。会社や顧客のためだけでなく、最終的には家族の笑顔のために頑張っているのだと実感する。

仕事に全力を尽くすことは当然だが、働き続ける力の源は家庭にある。娘との虫とりの時間は、心を充電し、翌週の仕事に活かす大切な時間だ。仕事と家庭、利益と過程。その両方を大事にすることで、よりよい働き方、生き方が見えてくると信じている。

営業2課 加藤 翔