塗装のプロが教えます!塗装について

塗装とは

各種塗装工事

塗装は、一般的に物の装飾や保護、防錆(錆を防ぐ)を目的として行われます。そして、用いられる塗料にも目的によって様々な性質のものがあります。

結露防止・電磁波遮断・電磁波吸収・太陽熱吸収・遠赤外線放射・防音・防虫・防カビ・水中防汚・消臭など様々な機能を果たす塗料が色々なところに使用されています。
これらの塗料には各々得手不得手があり、その目的に添って使い分けられます。
また機能の違う塗料を適切に重ね塗りすることで、単一の塗料では得られない強固で見栄えの良い塗装を行うことが出来ます。

塗料は、補修・塗替えという比較的簡単な方法で長期保護することができる点が最大の特徴です。
塗装後は定期的な点検により、物を半永久的に保つことができるのです。

なお、塗装においては、塗装をする対象物の材質に合った塗料を選ぶ必要があり、場合によっては、上に塗る塗料の性質に合うように塗装する面に下処理が必要となることもあります。

塗装の構成

塗料の成分構成は、顔料・樹脂・添加剤など乾燥後も塗膜として残る塗膜成分と、溶剤など塗料が固まる過程で揮発してしまう非塗膜成分からなっています。

塗料 = ①顔料 + ②樹脂 + ③添加剤 +(④溶剤・水)

1.顔料

水、油、溶剤等に溶けずそのものが色をもつモノ。主に塗料の色彩等を形づくる成分です。

2.樹脂

塗膜主要素ともいい、塗膜が固まる元になる成分です。この樹脂の特徴で耐候性や柔軟性、耐水性などの塗膜性能が決定づけられます。
現在では塗料に用いる樹脂のほとんどが石油を原料とした合成樹脂で、よく耳にするアクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料などはこの樹脂名のことです。

3.添加剤

塗料の性能を向上させる補助薬品で、すべての塗料が含有するのではなく、塗装の目的とする機能や用途に応じて添加されます。
添加剤は、極めて少量しか含まれておらず、塗膜形成後、その効果は徐々に消滅してしまいます。

4.溶剤

樹脂類の溶解(希釈)に使用されるもので、これ自体は蒸発して塗膜とはなりません。
塗装作業において、塗料を適正な粘度に調整したり、塗面の仕上がり性をよくするために使用します。
水を使用したものが水性塗料、シンナーを使用したものが溶剤系塗料です。

水性塗料 と 溶剤型塗料

塗料そのものの性能は、主な材料である樹脂が決定しますので、「水性だから弱い…」ということはありません。
重要なのは、塗膜がどんな樹脂系の塗料でつくられるか、ということです。
塗り替えには、臭い、人体への影響、環境への影響を考慮に入れると、むしろ水性塗料の方が適しているといえます。
現在では環境への配慮から、自動車等の工業製品でも水性塗料への切り替えが進んでいます。

外壁塗装に使用される塗料の種類

外壁塗装に使用される塗料の種類

アクリル樹脂塗料

  • 価格が安く、取り扱い易いのが最大の長所です。
  • 新築時の塗装によく使用されています。
  • 塗替えには現在、あまり利用されていません。
  • 耐久年数は約3~5年6年程度くらいです。

ウレタン樹脂塗料

  • 性能、価格の両面でバランスが良く、最もポピュラーな塗料です。
  • 場所を選ばず、多方面で使用され、特に木部には頻繁に使われます。
  • 耐久性、作業性に優れ、殆んどの下地(最初に塗る塗料)に対応します。
  • 耐久年数は約5~7年くらいです。価格が安く、取り扱い易いのが最大の長所です。

シリコン樹脂塗料

  • 戸建の塗替えではほとんどこのクラスが利用されています。
  • ほとんどが水性塗料で、溶剤タイプのような独特な臭いもありません。
  • 外壁、屋根などに使用され、弾力性、耐久性、紫外線、湿気に優れた塗料です。
  • アクリル、ウレタンと比較して費用は高いが、耐久年数が優れています。
  • 耐久年数は約7~10年くらいです。

フッ素樹脂塗料

  • ビルや橋梁など、あまり頻繁にメンテナンス出来ぬ場所に使います。
  • 「耐薬品性(酸性雨に強い)」「低摩擦性(雪が滑り落ちやすい)」「耐候性」「難燃性」に優れる。
  • 塗料の中で、価格、耐久とも最高ランクの塗料です。
  • 強靭な塗装膜を作ります。
  • 価格が高いことが欠点です。
  • 耐久年数は15年以上です。

その他 光触媒塗料

  • 光触媒機能により汚れを分解します。(太陽光線が当たる所)
  • 遮熱効果や大気を浄化する機能があります。
  • 親水性で汚れが着きにくくなっています。
  • カビなどの細菌の繁殖を抑えます。
  • 耐久年数は約15年~20年前後です。 遮熱塗料
  • 太陽光の赤外線を反射することにより、建物を暑くさせない塗料です。
  • 塗るだけで、室温が3~4℃下がります。
  • 耐久年数は約7~15年前後です。(使用されている樹脂によります。)

塗装の工程

1.外壁の洗浄

塗装をする面の汚れなどを洗い流しキレイにします。

屋根のカラーベスト
屋根:カラーベスト
高圧洗浄
施工前 高圧洗浄
洗浄完了
洗浄完了

2.下塗り

  1. 傷んだ下地を補強し、上塗り塗料との密着を高めて、耐久性を高める接着剤的な役割。
  2. 上塗りが下地に吸い込まれないようにし、最終的にムラのない仕上がりにするもの。主にシーラーとフィラーと呼ばれるものがあります。
下塗り
下塗り
シーラー

薄膜タイプで、下地の状態が比較的によい時や現在の壁のパターンを残したい場合等に使用しますが、穴やクラックを埋めたりということはできないので傷んだ下地には不向きです。

フィラー

厚膜タイプです。クラックなどに追随する機能、微弾性があります。
下地の状態が比較的悪い場合や現在の壁面のパターンに新しいパターンを付けたい場合等に使用します。

【メモ】下地が非常に悪い場合はシーラーの上にフィラーを塗る場合もあります。

上塗り

上塗り
上塗り

塗装の目的である、建物表面に装飾や保護、防錆の機能を持たせます。
目的によって様々な性質のものを目的に添って使い分けられます。

建物表面の種類

主に外壁で使用されている素材には・モルタル・コンクリート・金属系・木質系・サイディング・漆喰・ALCなどがあります。種類により塗装の方法なども違ってくるので、外壁塗装をする上で外壁の種類を知ることは非常に重要な事となってきます。

金属系

表面をアルミや銅・ステンレスなどの金属板で仕上げ、発泡樹脂で断熱材が裏打ちされたもの、金属系は素材が軽く、断熱効果、防音力に優れます。また張替えも不要なので非常に経済的といえます。

木質系

木材によって構成されたもの。ヒノキ、ヒバなどの天然木や合板、木片セメントなどを塗装し、木の風合いを活かした外壁材です。断熱性に優れていますが、耐火性が低く都市部では規制を受ける地域もありますので使用する場合は確認が必要です。

モルタル

砂(細骨材)とセメントと水とを練り混ぜて作った材料です。セメントと砂とは重量比にして1:2~1:3の割合で混合されることが多いものです。ペースト状で施工性が良く、仕上材や目地材、躯体の調整などに多く用います。

コンクリート

砂、砂利、水などをセメントで凝固させた人造石です。
コンクリートは圧縮力(押さえつけられる力)には強いのですが、引張力には弱い特徴を持っています。
このためコンクリート単体で使うのではなく、コンクリートの中に鉄筋を入れた「鉄筋コンクリート」として使われることが多いです。