痕跡本の楽しみ
「1973-1896=146」
先日読み終わった古本に書き込まれていました。
文豪の没年例を計算したかったようです。
訂正の跡なし。潔い!
私の前にこの本を読んでいたのは、どこに暮らした、どんな人だろうか。
文字の感じからすると、年配の方のように思われます。
同じ本を選ぶのだから、きっと私と共通する何かがあるはずです。
私は古本に全く抵抗がありません。神保町も好きです。
新刊書店からは、良い本が新発売に押されてどんどん消えていってしまいます。
もはや古本でしか手に入らない本も、多くあります。
以前に読んだものからは航空券が出てきたし、
また別の本からは、レシート状の光熱費の明細が出てきたこともありました。
そこまで読んで、やめてしまったのかしら。
それとも、誰かから隠すため咄嗟に挟み込んだ、とか?
それから、前の持ち主は、なぜこの本を売ったんだろう。
少しの痕跡から想像は膨らみ、
いくつもの跡が残る本からは、新しい物語ができてしまいそうです。
これも、古本の楽しみの一つです。
営業二課 武田