痕跡本の楽しみ

2023年2月7日 更新

「1973-1896=146」

先日読み終わった古本に書き込まれていました。

文豪の没年例を計算したかったようです。

 

訂正の跡なし。潔い!

 

私の前にこの本を読んでいたのは、どこに暮らした、どんな人だろうか。

文字の感じからすると、年配の方のように思われます。

同じ本を選ぶのだから、きっと私と共通する何かがあるはずです。

 

私は古本に全く抵抗がありません。神保町も好きです。

新刊書店からは、良い本が新発売に押されてどんどん消えていってしまいます。

もはや古本でしか手に入らない本も、多くあります。

 

以前に読んだものからは航空券が出てきたし、

また別の本からは、レシート状の光熱費の明細が出てきたこともありました。

 

そこまで読んで、やめてしまったのかしら。

それとも、誰かから隠すため咄嗟に挟み込んだ、とか?

それから、前の持ち主は、なぜこの本を売ったんだろう。

 

少しの痕跡から想像は膨らみ、

いくつもの跡が残る本からは、新しい物語ができてしまいそうです。

これも、古本の楽しみの一つです。

 

営業二課 武田

 

◀前のページに戻る    ▲このページの先頭へ